旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

「過去のページ」

佐藤良明訳の『Bob Dylan The Lyrics 1961-1973』(岩波書店)を入手しました。まず初めに読んだのが「My Back Pages」です。
この曲はキース・ジャレット・トリオの演奏で好きになりました。感傷的な旋律がタイトルにぴったりでした。ディランの歌ではそれが聞き取れなかったのです。
この曲が収録された国内盤の『Another Side of of Bob Dylan』には片桐ユズルの訳詞が付いていましたが、私にはわけのわからないものでした。私にはそれが逐語訳であるからのように思えます。詩人でもある彼にはそうする理由があったのかもしれませんが、歌として聞く者には不親切な訳です。
「My Back Pages」の各聯は 'Ah, but I was so much older then I'm younger than that now' で終わります。そしてその前には 'than' がどんなものであったかが述べられています。それは隠喩で書かれ、わかりやすいものではありませんが、佐藤は「あの頃のおれ」に収斂するように訳しています。
この本では曲名が日本語になっています。訳文は縦組みで、その下に左寄せで原文が配置されています。注釈はありません。
曲を聞きながらではなく、詩集としてじっくり読んでいくことにします。いい本に出会えました。