私は犬や猫を飼ったことがありません。ただ二十年ほど前に、一度だけ犬を預かったことがあります。写真がその犬で、ミニチュアダックスの雌、名前は「pon」でした。預かり始めた時に写したので、飼い主から捨てられたと思い、いじけています。その後、円形脱毛症にもなってしまいました。
ponは散歩が大好きでした。「散歩に行こう」と声をかけるだけで、飛び跳ねて喜ぶのです。それがそのうちに、名前を掛けて「お散ponに行こう」になりました。
早朝の公園に誰もいないと、リードを外してやりました。砂煙を上げて走り回ります。急な方向転換が得意でした。猟犬の血が流れているんだ、と感心したものです。穴もよく掘っていました。
可愛いけれど野性味あふれたponでした。果物、特にスイカとメロンが大好きで、唸り声をあげながらむしゃぶりつきます。薄くなってもう味もないだろうと取り上げると、怒って噛みつかれたこともありました。
今はいないponのことを思いだしながら、私はひとりでお散ponをしています。
