旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

近藤ようこ『高丘親王航海記』

近藤ようこの『高丘親王航海記』(KADOKAWA)を購入しました。全巻が揃ってからにしようかと悩んだので、買うのが遅くなりました。
澁澤龍彦の原作は読んでいません。実は私、澁澤の本は訳書しか読んでいないのです。
自分も船に乗って旅しているような、ゆったりとした時間の流れを感じました。白い絵が多く、それだけに黒く塗りつぶした部分が漆黒に見え、印象に残ります。
急遽旅に加わることになった少年、秋丸が19頁左下のコマで女性の眼差しをしているのにはっとしました。
エロティックな描写もあり、高丘親王のように藤原薬子に取り込まれてしまいそうです。薬子は親王が13歳のときに亡くなりました。その薬子に導かれるかのように、天竺へ向い旅する親王は私よりひとつ下の67歳です。