湊かなえ氏の新刊、『ドキュメント』(角川書店)を読みました。自分で買った本ではなく、予備知識は一切なし。帯には「興奮と感動の高校部活小説」と書いてありましたが、これも読み始めてから知りました。
舞台は地方の私立高校です。以前は男子校でした。スポーツ推薦の生徒が多く(なぜか男子のみ)、当然そちらでは名門校ですが、文化部の活動も盛んです。
主人公は1年生の男子で、放送部に属しています。3年生は受験のために引退し、部員は2年生4名、1年生3名だけです。放送部と聞いて、校内放送や、集会でアナウンス等をやるところかと思いましたが、それだけでなく、ドラマやドキュメントの放送作品も制作しています。むしろそちらの活動に重点が置かれていて、作品の全国コンテストには毎年出場しています。
放送部の全員がとても素敵です。知識欲旺盛で、きちんと議論をし、他者に対する思いやりもあります。そして個性的。今時の高校生はこうなのでしょうか。私が見るテレビドラマの中の高校生とは大部違っています。
私が高校生だったのは半世紀以上前のことで、7人が通っている青海(せいかい)学院と自分の学校生活を比較すべきではありません。それだけでなく、勉強はしないし、部活動にも積極的ではない私でしたから、なおさらです。が、放送部の7人には既視感があります。あの時代にもそんな生徒たちはいたのです。
前半を読んでとても楽しくなりました。いい奴らだ。とても「混ぜて」とは言えないけれど、そばいるだけでいいや。これって青春小説だよね。どうやって終わるのかな。
ところが、後半はミステリーになります。それについては書けません。