旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

路上の商い - 移動映画館

私は1952年生まれですので、いくら浅草育ちでも、覗きからくりは見たことがありません。が、何かを見せてお金を取る商売はありました。紙芝居は違います。あれは子供集め、菓子売るために紙芝居を見せるのです。ですから、菓子を買わない子も、後ろの方で見ることは許されました。売っているのは、ソースせんべいと水あめでした。町内には3人の紙芝居屋が来ていました。
幻灯を見せる商売があったかのか、記憶はあやふやです。夜店で、幻灯機やそれに使うスライドは売っていたような気がしますが、断言はできません。はっきりと覚えているのは移動映画館です。
それを曳いてきたのはオートバイだったのでしょうか。かなり大きなもので、たぶん発電機も付いていたのでしょうから、自転車では無理です。
移動映画館は建築現場に置かれているトイレに似ていました。上に消臭用のベンチレーターのようなものを立て、ファンが廻っていたところも、臭気抜きではなかったのでしょうが、そっくりです。その中に、映写室と数人が立って見る客席がありました。
使われていたのは8ミリなのか、昔おもちゃ屋で売られていたという家庭用映写機なのかは、私は見たことがないのでわかりません。また、どのような映像を見せていたのかも知りません。見終わった客には、おまけとして駄菓子屋でも売っていたフィルムの切れ端を渡していました。
あちこちに映画館があった頃でしたから、物珍しさで人が集まっても、手動式メリーゴーランドと同じで、客はほとんどいませんでした。