旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

『大菩薩峠』と勝小吉

大菩薩峠』全巻を読んでいることは、私の数少ない自慢の一つです。41巻もあっておまけに未完、そんな大長編を最後まで読み通したことが自慢なのではありません。1巻だけ読めば十分で、それ以外はクソつまらない小説を完読した「あんたは偉い!」なのであります。中里介山先生の得意気な様子が目に浮かぶ文章に耐えたことも偉い。『大菩薩峠』には、物語とはまったく関係ない勝小吉の自伝『夢酔独言』を紹介しただけの1冊もあります。
NHK-BSPのドラマ『小吉の女房2』を見ています。主役の沢口靖子ではなく、古田新太演じる勝小吉が実にいいのです。無役の旗本で、尾羽うち枯らした貧乏生活を余儀なくされています。若い頃は剣術には打ち込みましたが勉強は大嫌い。貧乏暮らしと不摂生のせいで脚気になり、息子の麟太郎に早々と家督を譲っています。人生の達人かというとそうでもなく、失敗続きですが、それでも一向にめげないところがたまらないのです。
時代小説は白井喬二の『富士に立つ影』が最高だね。