旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

柳田國男『日本の祭』

柳田國男著『日本の祭』を読んでいます。1941年に東京帝国大学で行われた教養特殊講座の草稿をまとめたものです。そのため第一章は「学生生活と祭」となっていて、柳田は講義の動機をこう述べています。
「(略)我々お互いには、「それはまだ気付かずにいた」と言わねばならぬことが幾つもある。新たに気を付けていれば今からでも、それがだんだんと判って来そうだ。歴史を人生に役立たせようと思えば、学ぶべき方法は眼の前にもある。そういう己を空しゅうする者の悦びを、もしできるなら諸君にも分かちたいのである。」
この本は、民俗学を歴史と近しいものと考えていた柳田による民俗学への招待として読めます。前年に折口信夫の奉職する国学院大学の学部講座に「民俗学」が新設されていますが、民俗学はまだ学問として認知されていなかったのでしょう。
本文は書名から予想していたものと違っていました。私は、柳田が言う「祭礼」をいくつか並べ、そこに共通するものを探るのではないかと思っていたのですが、そうではありません。柳田は「祭礼」を風流(ふりゅう)とし、「風流はすなわち思い付きということ」と切り捨てるのです。
折口の『古代研究』に「ほうとする話 祭の発生」があり、こちらも読む必要がありそうです。