旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

杉浦明平

杉浦明平の本を読んでいます。明平さんと呼びかけたくなるような風貌の人です。
一高時代から伊藤律と親交があり、戦後日本共産党に入党し、生まれ育った愛知県渥美町の町会議員をしていたことから、ずっと敬遠していた作家でした。中野重治は愛読していたくせにね。
初めて読んだ明平さんの本は、訳書である岩波文庫の『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』でしたが(一年制の東京外国語学校の夜学に通い、イタリア語を習得したそうです)、『ノリソダ騒動記』を読み印象が変わりました。予算がわずかしかない小さな町の政治には、党派など意味を持たないのです。駆け引きには長けているのですが滑稽で卑屈、それでいて憎めない人たちがたくさんいました。
晩年の大作『小説渡辺崋山』は入手できず読んでいません。今でも読みたくてならない作品です。