鶴見俊輔著『アメノウズメ伝 - 神話からのびてくる道』(平凡社/1991年)が読みたくなり、久しぶりに手に取りました。タイトルから想像するような本ではなく、戦後の鶴見自身を振り返るような内容で、すいすいと読み進められます。そのうちに『太夫才蔵伝 - 漫才をつらぬくもの』(平凡社選書/1979年)も読みたくなりました。この二冊は同じ雑誌に連載されたものです。
「太夫才蔵」は予祝芸としての古い万歳を演ずる者たちですが、鶴見に大きな影響を与えたのは1949年に移り住んだ京都で見た、うだつの上がらない芸人たちの漫才でした。その小屋では漫才が続いた後に寸劇があり、ストリップで幕となりました。それが一日四回繰り返され、鶴見は全てを見たこともあったそうです。この記述はどちらの本にも出てきます。
『アメノウズメ伝』はジョルジュ・ソレルの『暴力論』にも触れています。東堂太郎が愛読していた本です。『神聖喜劇』に繋がる読書はまだまだ続くようです。