ガルシア・マルケスが読みたくなり、まず『予告された殺人の記録』(野谷文昭訳)を読了。続いて『族長の秋』(鼓直訳)を読んでいます。小説は思いつくままに読むことしましたので、次はどれにするのやら、自分でも楽しみです。でもラテンアメリカ文学はおもしろ過ぎるので、当分は抜けられないかもしれません。
山中恒再読は山中典子との共著『間違いだらけの少年H - 銃後生活史の研究と手引き』(辺境社/1999年)からはじめました。同書に「どうやら『少年H』という作品は歴史の流れも時制も無視して、作者のかすかな記憶に想像をたっぷりまじえて創作した話で、本当の本当の話ではなく(ママ)、歴史的な事実関係に誤りが多い小説、極端な言い方をすれば、戦争体験者の酒の席でのヨタ話を小説風にまとめただけのものと思って読んだ方が無難なのである」(594頁)と書かれていますが、私も同じ考えなので、今回は『少年H』批判ではなく「銃後生活」を知るために読んでいます。たとえば戦時中が舞台のドラマでよく出てくる食糧配給については多くの頁がさかれていて、地域によって相当な違いがあり、方法も切符制から通帳に変わったりと、町会や隣組の負担の大きさがよくわかりました。
『少年H』の作者妹尾河童が、なぜ自分の家族をあの時代に流されずに屹立していた「聖家族」として描いたのかが私の当初からの疑問で、『間違いだらけの少年H』を読んでもそれを知ることはできません。