旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

『門』に描かれた歳末風景

漱石の『門』を読んでいます。禅宗に興味がなく、再読は久しぶりです。相変わらずの思い違いで、いい小説を読む楽しみを味わっています。『門』の連載開始は1910年(明治43年)3月1日で、季節は違いますが同じ年代を背景にしています。
宗助一家の迎春の準備は、餅を切り、「小殿原(ごまめ)を熬(い)つて、煮染を重詰にする位な」ものです。年が明けても初詣には行きません。大学を中退した宗助は下級役人で、明治の終わりの東京の庶民生活はこのようなものだったのでしょう。
注解に「(「ごまめ」は)武家ではこれを「小殿原(ことのばら)」と呼び、農家では「田作り」と呼んだ」とあります。東京の下町に育った私は「ごまめ」と呼び、今でも大好物です。