旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

『肝っ玉おっ母とその子どもたち』

積ん読の中のベルトルト・ブレヒト/岩淵達治訳『肝っ玉おっ母とその子どもたち』(岩波文庫/2004年)を読みました。ブレヒトの詩は読んだことがありますが、戯曲はこれがはじめてです。少し前の新聞記事に文学座の公演が紹介されていて(今日が初日です)、気になっていたのです。三十年戦争が背景になっていることさえ知らず、三十年戦争そのものもうっすらと覚えているだけでした。
肝っ玉おっ母、アンナ・フィアリングは子供三人と幌車を引き、軍隊を追って商売をしていました。当時の戦争は傭兵がするもので、庶民が兵士に引き立てられることはありません。しかし軍隊と取引をしているために、息子二人は兵士にされて死んでいきます。また、娘も戦争で殺されます。1939年に書かれ、反戦劇とされていますが、救いようのない内容で、読後気持ちが沈んでしまいました。
巻末にブレヒトの略年譜があり、波乱の多い一生を送った人と知りました。