金曜日はNHK-BSの西部劇映画を見ています。映画館で見ることのなかった私は、西部劇は射撃の名人のカウボーイが悪人を懲らす勧善懲悪映画とばかり思ってきました。東映の時代劇を見て育ってきたせいでしょう。
映画で見るカウボーイは苛酷な仕事にもかかわらず、牛を目的地に運べば僅かな金を貰って解雇され、次の仕事を求めて放浪するしかない人たちでした。
中央公論社の『世界の歴史23 アメリカ合衆国の膨張』(1998年)に紀平英作のこんな記述を見つけました。
「南北戦争が終わった直後から一八七〇年代後半まで、およそ一五年程度のわずかな時期に、草原を奔放に移動した、ロングドライヴと呼ばれた牛追いの群れがそれであった。牧場のあるテキサスの地から、カウボーイたちは牛を追う旅に出た。初めは鉄道の駅があったミズーリ州のセダリアまで、のちには鉄道線路の延長にそってカンザス州のアビリーンあるいはダッジシティへと、大草原を二ヵ月弱にわたって牛を追いながら北に移動し、シカゴやセントルイスに出荷していったのである。」(「それ」は「二十世紀に入ってもアメリカ人の郷愁をなお誘う、鮮やかな大西部の一コマ」を指します。)