私の通った小学校では、四年と六年の進級時にクラス替えがありました。新しい担任は生徒の間では怖い先生として有名で、クラスが発表されたときにはがっかりしました。でも保護者の中には、教育熱心な先生と評価する人たちもいました。
先生は髪が薄く、髭の剃り跡が青青として眼光の鋭い、生徒に威圧感を与える中年後期の男性でした。さてその授業です。テストが多く、ある点数以下の男子生徒には体罰が下されました。頭を手で叩くだけでなく、出席簿の角で殴る、印鑑の端を出して握りそれを側頭部にぶつけるなど、痛みを伴うものでした。生徒を前に並ばせ、自身の頬を叩かせるという陰惨なやり方もありました。授業内容に特色はありません。生徒が教科に興味を持つように話すとか、問題の解き方をわかりやすく説明するといったことはなかったのです。
五月になると、欠席する生徒が増えていきました。数人だったのが半数を越えるほどになりました。出席している生徒の何人かが「うちの親は休ませないと断っていた」と話しているのを聞きました。保護者の間で何か起こっているようでしたが、私の親は何も知りませんでした。先生が教室に来なくなり、自習時間が増えていきました。ある日、ふらっと教室に入ってきた先生は「お前たちは登校拒否はしなかったんだな」とぽつりと言いました。それが最後の授業でした。
保護者たちは体罰に抗議し、担任の罷免を求めたのです。先生は転任しました。次の担任は、残念なことに、これまた問題の多い女性教師でした。
私はどんな体罰にも反対です。