NHK-BSのプレミアムシネマで先週と先先週の水曜日に、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが主演のビフォアシリーズが放送されました。監督はリチャード・リンクレイターです。一作目は1995年の作品で、プレミアムシネマではタイトルが『ビフォア・サンライズ』ではなく『恋人までの距離(ディスタンス)』になっていました。それから想像し、ラブコメだろうと思ったのですが違っていました。
ブダペストからパリに向かう列車で出会ったアメリカ人とフランス人の若い男女がウィーンで下車して一日を過ごすことになる、とここまでは「やっぱりね」だったのですが、それから延延と二人の会話が続くのです。内容は多岐にわたり休む間もありません。それが実に面白く、長回しもあって臨場感があります。半年後の再開を約束して映画は終わりました。見てよかったとつくづく思いました。
二作目の『ビフォア・サンセット』は九年後の2004年の作品です。映画の中でも九年の歳月が過ぎていて、男性はあのときの出来事を小説に書き、それが欧米でベストセラーとなって、サイン会のためパリの書店に来ていました。それが終わる頃、ウィーンで再会できなかった女性を見つけ、空港に行く僅かな時間を二人で過ごすことになりました。上映時間と二人が過ごす時間は一致しています。
それからは一作目同様、二人の会話が続きます。彼女はウィーンに行かなかったのは祖母の葬儀があったからでした。男性は結婚し子供も生まれましたが、幸せではないようです。女性はニューヨークに留学してから社会活動をしていますが、私生活はうまくいっていません。空港に向かうタクシーを待たせ、二人は彼女のアパートに行きます。ニーナ・シモンのCDを聞きながら、彼女が語るシモンのコンサートのエピソードが笑わせてくれます。
さらに九年後、第三作『ビフォア・ミッドナイト』が作られ、それが今週放送されると期待していたのですが、番組表に載っていませんでした。落胆しています。