旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

朝の香り

古井由吉に『夜の香り』という小説があります。40年ほど前に一度読んだきりなので内容はほとんど忘れていますが、ここに書かれている「夜の香り」は、言葉から連想されるような、たとえば花や香水の香りのようなロマンチックなものではありません。天麩羅を揚げる匂いなのです。夜、ある民家の前を通るたびにその香りがするというのです。
この時期の散歩は早朝に限ります。今朝も新しいイヤホンを耳に挿して、自作のプレイリスト「吉田拓郎singles」を聞きながら歩いてきました。
あちこちでオシロイバナの香りがしました。好きだな。パンを焼く匂いもしました。このへんにパン屋さんてあったっけ?そういえば子供の頃のラジオ体操の会場は豆腐屋の前で、毎朝おからの匂いがしていたな。
町に流れる香りはその町毎に違い、また季節や時代によっても変わっていくものなのですね。

ミミズの墓場

梅雨が明け日射しが強くなってくる頃、熱されたアスファルト歩道で、ミミズがのたうちまわっているのをよく見かけます。ジュウジュウと身の焦げる音が聞こえてきそうです。すぐに力尽き、アリの餌になるか干からびていきます。
なんでこんな時期に地表に出てくるのか、不思議でなりません。引越しなら梅雨のうちにやればいいのです。
ゾウのように、死期を自覚したミミズが墓場を目指しているのではないかと思ってもいます。

ミンミンゼミがやって来た

ベランダでガサゴソ音がしました。「鳥かな」と見てみるとミンミンゼミでした。
アブラゼミはたまにやって来ますが、ミンミンははじめてです。鳴かないので雌かもしれません。
しばし滞在してもらいたくて、そっとしておきましたが、すぐにお帰りになってしまいました。お茶でも出せばよかったのかな。

初蝉

昨日、今年はじめてのセミの鳴き声を聞きました。いつもの通りミンミンゼミでした。律儀だね。
騒がし過ぎるほどセミのいた近所の会社の木立が切り倒され、幾分か減ったのでしょうが、まだまだ夏中鳴き暮しています。ニイニイゼミがいなくなり、クマゼミが出張ってきました。