旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

朝の香り

古井由吉に『夜の香り』という小説があります。40年ほど前に一度読んだきりなので内容はほとんど忘れていますが、ここに書かれている「夜の香り」は、言葉から連想されるような、たとえば花や香水の香りのようなロマンチックなものではありません。天麩羅を揚げる匂いなのです。夜、ある民家の前を通るたびにその香りがするというのです。
この時期の散歩は早朝に限ります。今朝も新しいイヤホンを耳に挿して、自作のプレイリスト「吉田拓郎singles」を聞きながら歩いてきました。
あちこちでオシロイバナの香りがしました。好きだな。パンを焼く匂いもしました。このへんにパン屋さんてあったっけ?そういえば子供の頃のラジオ体操の会場は豆腐屋の前で、毎朝おからの匂いがしていたな。
町に流れる香りはその町毎に違い、また季節や時代によっても変わっていくものなのですね。