旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

共鳴する耳

3時過ぎに目覚めてしまい、しかたなく本を読んでいました。4時半ころ、サイレンを鳴らした車が通りました。窓は右側にありますので、音はそちらから聞こえてきます。でも何かヘンです。サイレン以外の音も聞こえるのです。それもすぐそばから。
どうも右の耳の奥で何かが鳴っているようです。いやな気分です。待てよ、この音には聞き覚えがあるぞ。


20年ほど前の夏、寝ている私の耳の中に虫が飛び込んできたことがありました。そういうときは部屋を暗くして、懐中電灯で虫を外に誘い出すのがいいそうですが、それは後に病院で教えてもらったことです。
思わず耳に指を入れ、虫を掻き出そうとしました。虫はそれを避け奥に逃げます。鼓膜に暴れる虫の羽が直に触れ、がさごそとした音がしました。その音に似ているのです。
どうやらサイレンの音に右の鼓膜が共鳴しているようです。
こんなことは初めてですが、共鳴自体はベースを弾いていて何度も経験したことがあります。特定の音に窓ガラスなどが鳴り始めるのです。会場に人のいないリハーサル時によくあるのですが、本番では音の伝わり方や空気の容積が変わるせいか、まずおこりません。
ヘッドホンの使いすぎで鼓膜のエッジが痛んじゃったのかな。そんなに大音量で聞いていないはずなんだけど。


虫は1時間ほど耳の中で暴れて死んでしまい、死骸の残った右耳はほとんど聞こえなくなりました。
翌日、病院に駆け込みました。その日は耳の中にオイルを入れ、浮き上がってきた部分を取り出しただけでした。その後何日か通い、ピンセットで鼓膜などに張りついた虫の残骸を少しずつ剥がしたのですが、その痛かったこと、もう二度と経験したくありません。