旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】三遊亭王楽

三遊亭王楽師匠

仲入前は昨年の【江刺寄席】で「愛宕山」を熱演してくれた三遊亭王楽師匠です。
マクラは短く「子別れ」が始まりました。


この噺、王楽師匠は立川談春師匠とのリレー落語でネタおろしをしました。残念ながら私はその会には行けませんでした。
談春師匠が「子別れ(中)」を、それに続き王楽師匠が「子別れ(下)」を口演したのですが、その「子別れ(下)」が江刺で聞けるとは思いませんでした。


リズム感のいい王楽師匠の語り口ですが、この噺ではテンポは抑え気味です。それが棟梁の、酒の上での過ちを悔いている気持ちをよくあらわしています。番頭さんと木場へ向かう場面がきっちりと描かれ、息子の亀が登場です。
ここで噺が動き始めます。王楽師匠の演ずる子供って、実にかわいらしくていいのです。別れた女房のその後の生活が気になる棟梁もいじらしく、苦い笑いを誘います。


家に帰った亀と母親の場面はこの噺の山場です。ハンカチを目に当てているお客さまが何人もいらっしゃいました。
芝居では、客を泣かすより笑わすことの方が難しいといわれますが、落語では逆です。いつかは【江刺寄席】でお客さまを泣き笑いさせてみたいという私の願いがかなってしまいました。


いい「子別れ」でした。
たんたんとしていて、それがまた噺の魅力を十分に引き出していました。


「子別れは父(好楽師匠)が志ん朝師匠から習ったものを、そのまま教えてくれたものです」と王楽師匠は打ち上げで語ってくれました。