旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

黒石寺と蘇民将来

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私の経営していた会社の工場の近くに蘇民祭で有名な黒石寺(こくせきじ)がありました。私が蘇民将来を知ったのはそのためです。
聞いたことのない蘇民将来という異国風な名前に興味を持ち、地元の人に尋ねてみましたが、要領を得ることはできませんでした。そんなときに新聞の書評で川村湊著の『牛頭天王蘇民将来 消された異神たち』(作品社)を知り、早速入手しました。それまでに川村氏の著作は『満洲崩壊』(文藝春秋社)しか読んだことがなく、古代の神々との結びつきを意外と感じたものでした。そのようなわけで私は、午頭天王よりも午頭天王が疫病から救った蘇民将来を先に知ったのです。
北の海に住む牛頭天王が南の海の神の娘を嫁にしようと旅立ちました。日が暮れ、一夜の宿りを裕福なコタン将来に願いましたが拒否されました。が、弟の貧しい蘇民将来は歓待してくれたのです。数年後に八柱の王子を連れて帰郷する牛頭天王蘇民将来を訪ね、一族の者に茅の輪を腰に付けるよう命じました。牛頭天王が去った夜、茅の輪を付けた者以外はことごとく滅ぼされたのです。
蘇民将来之子孫者」と書かれた小さな板が長岡京で発掘されました。その頃から現在まで、それは疫病よけのお守り札であり続けています。