旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

モース刑事のロング・グッドバイ

『刑事モース オックスフォード事件簿』が再開しました。4話の再放送に新作4話が続きます。1回目は第10話「光と影との奇想曲」でした。
私はこれを見るのは3度目です。でも飽きることなく見入ってしまいました。『刑事モース オックスフォード事件簿』のベスト3に入る作品だと確信しています。
私にはモースとビクスビーが、マーロウとレノックスに重なって見えるのです。レイモンド・チャンドラーの傑作『ロング・グッドバイ』の二人です。
結末は正反対です。でもモースとマーロウが、かけがえのない友人を失ったことは同じです。

残念です

宗教や歴史そしてアニメやゲームについて、軽い調子で書いているのですが学ぶところの多かったツイッターを書いていた某氏が、今日を限りにアカウントを停止することになりました。決意した理由が書かれていましたが、ツイッターを利用していない私にはどうも理解できません。
朝パソコンを起動し、メールの確認後いくつかのツイッターを読むのが私の日課です。「お気に入り」に「ツイッター」のフォルダを作り、気になるそれをズラッと並べてあるのですが、そのツイッターは上から二番目でした。再開はなさそうですが、私待ちます。

加筆修正するのなら

山本一力著『たすけ鍼』と『たすけ鍼 立夏の水菓子』を読みました。どちらも朝日文庫で『たすけ鍼 立夏の水菓子』は昨年の12月30日に発行されたばかりです。鍼灸師、染谷(せんこく)を主人公にした連作短編集で両巻にまたがる大きな事件があります。雑誌に掲載された作品を「加筆修正」したとのことです。
私には初めての山本先生の小説です。期待して読み始めました。が、どうも引っかかるところがあります。つじつまが合わないのです。元々短編として書き始めたものが連作となったためにそうなったのだろうと思うことにしました。
大詰めとなり残り十数頁、一気に読み進めているとまたこやつが現れました。
 
薬種問屋の隠居、仲蔵は賭場を開いている呉れ屋組の元締め、小平の罠にはまり、禁制品の朝鮮人参の横流しをしてしまいました。その手から逃れる方法はないかと、賭場で知り合った実直そうな菓子職人、善助に相談を持ちかけます。善助は答えます。
「染谷先生なら、入り用な知恵を貸してくれると思います」(『たすけ鍼 立夏の水菓子』381頁)
染谷と面識のない仲蔵はそれを拒みますが、善助は染谷を信頼する大店の主人の名前を出し「染谷はれっきとした医者だと、強く言って口を閉じ」(383頁)ます。仲蔵は「知りもせずに、うかつな物言いをし」(383頁)たと善助にあやまります。そこに呉れ屋組で働いていた渡世人、佐津吉がやってきました。佐津吉は不始末を起こし、小平に追われる身となっていました。佐津吉も染谷と関わり合いがあり、話にその名前が出てくると善助がこう言うのです。
「ご隠居に話をする気でいましたのも、その鍼の先生のことです」(386頁)
善助は「話をする気でい」たのではなく、すでに「ご隠居に」話をしています。ところが仲蔵はこう言うではありませんか。
「傳吉だの染谷だのと、わたしの知らない名を語られても呑み込みようがない」(387頁)
傳吉は流れ者の壺振りです。佐津吉は小平から傳吉を殺せと命令されましたが、染谷たちによって阻止されました。佐津吉はそのことを仲蔵と善助に説明しています。でも直前に話題になった悪党の名前ですから「知らない名」でもかまわないでしょう。しかし染谷はそうではありません。仲蔵がすがらなければならない人の名前なのかもしれないのです。
 
こういうことを書くのは好きではありませんし、このままでもいいのだと自分を納得させることもできます。でも、この手の小説は読んでスカッとすることが大事です。面倒なことに気を取られたくありません。そのように「加筆修正」してもらいたいものです。

映画『インセプション』

BSプレミアムレオナルド・ディカプリオ主演の映画『インセプション』を見ました。夢を作り出し、それを他者に見せるだけでなく、その中に入り込むことができる集団を描いたものです。
夢好きの私です。見ない手はありません。
つまらなかったな。彼(彼女)らは幾層にもなった夢を作り出すのですが、それぞれがなぜそのような夢になるのかがわかりません。ディカプリオは以前、協力者であった妻を亡くしているのですが、その経緯と、その後(映画の結末)のどちらもが、私にはありきたりに思えました。
夢は寝て見るに限ります。

オフィスビル

カウンターでICカードを受け取り、それを使って入場する今風のオフィスビルに入ったことは、わずかですがあります。二つのビルに数回行きました。
そのような場所に縁がないせいか、印象に残ったようでよく夢に出てきます。昨夜の夢もそうでした。
ICカードをタッチするゲートは長大なエスカレーターに繋がっていました。ものすごいスピードでほぼ垂直に上がっていきます。付いた先には廊下が続き、両側にはたくさんのドアがあります。ドアには何の表示もなく、どこへ行ったらいいのかわからないまま夢は終わってしまいました。

『銭形平次捕物控』

青空文庫の『銭形平次捕物控』を毎日二、三編読んでいます。全部で四百編近くあり、まだ三分の一にも達していません。(青空文庫にはまだ全作は収録されていません。)
原作の平次は、テレビ版の大川橋蔵とはだいぶ違っています。仕事が嫌いで金もなく、無精髭を生やし安煙草をふかしながら夜店で買った盆栽に鋏を入れて悦に入っているのが日常です。
八五郎も林家珍平風ではなく、顎の長い大男です。平次は地口が大好きで、この親分子分の会話はまるで漫才のようです。
小説としては『半七捕物帳』の方が面白いのですが、何度も読んでいますので、こちらを読み返すことはもうないでしょう。