面白い小説を読みたくなり、山田風太郎の「八犬伝」を再読しました。この小説、馬琴が北斎たちに語る八犬伝と、そのときどきの彼の私生活の叙述とが交互に繰り返される作品です。
いってみれば半分は八犬伝のリライトなのですが、枝葉をうまく刈り込んであり、あの複雑な物語がすっと頭に入ります。また、馬琴の原作を少しだけですが変えてあります。これが実に適切なのです。
人づきあいが嫌いな馬琴ですが、それだけに北斎や渡辺登(崋山)との交情が切々と描かれます。風太郎翁の力点がこちらに置かれているのは明らかですが、とりわけ一度だけ登場する南北との丁々発止のやりとりが印象に残ります。実はここが読みたくて(確認したくて)、再読したわけなのです。
今回読んで、風太郎翁が高田衛の八犬伝研究に言及していることに気がつきました。高田の「八犬伝の世界」は、これまた面白い本で、ついついそちらも読みたくなり、書棚から取り出してきました。
やっぱり本読みが一番性に合っているようです。
旭亭は「きょくてい」とも読むことに気づいていました?

- 作者: 高田衛
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/11
- メディア: 文庫
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