旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

試作室の石川さん

中村航「100回泣くこと」を読んだせいか(We で夢は見られませんでしたが)昨夜は新しいタイプの夢を体験しました。一人称は変わらないのですが、それがどんどん転生していくのです。夢界転生です。
が、今日の話題はそれではありません。


「100回泣くこと」の主人公、藤井君は設計の仕事をしています。ケストレルと名付けられた印刷機器の設計チームの一員です。
彼の勤める会社の片隅には試作室があります。どうやら藤井君のオアシスになっているようです。
現在、多くの企業では製品の試作をATCのような専門の業者に任せていますが、かっては自社で製作していました。手作りのころの話です。(富士重工にはスバル360の木製実物大の試作品が保存されているそうです。)


試作室は古いプレハブで、その真ん中に御影石の水平定盤が鎮座しています。まるで世界の中心であるかのように‥‥。
そこで働いているのは石川さんひとりだけです。あだ名は「匠(たくみ)」。金属部品の試作をしているようですが、仕事がないときは社内の備品も作っているとか。
試作室とは何か、深読みはいろいろできそうですが、ここは平凡に「まだこんな部署が残っている会社があるかもしれないね」という感想を述べるのにとどめておきます。


わかってはいたことですが、小説の最後では We は I と You になります。やはり We で見る夢はありえないのかもしれません。