旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

「扉をたたく人」

フェラ・クティのボックスセットと同時にトム・マッカシー監督の「扉をたたく人」のDVDも買いました。映画の中にクティのアルバム "Open Close" が出てくるからです。
「扉をたたく人」は新聞の映画評で知っていましたが、見たことはありませんでした。ただ、アメリカではこんな映画も作られているのかと感心したことは覚えていました。
シリア生まれの青年(ハーズ・スレイマン)はアフリカの打楽器、ジャンベ奏者でセネガル生まれの恋人(ダナイ・グリラ)と、主人公の老大学教授(リチャード・ジェンキンス)がニューヨークに持つアパートで同棲しています。青年がジャンベに興味を持った主人公にクティのCDを示し、「彼がアフリカンビートを作ったのさ」と教えます。
青年がアフリカ人ではないところに、脚本も書いているマッカシーのクティの音楽に対する深い見識が感じられました。クティの音楽はレゲエと同じように、生まれた国を離れてひとつのジャンルになっているのでしょう。
青年の母親を演じたヒアム・アッバスの美しさに圧倒されました。恋人役のグリラの顔立ちも私の好みです。「肌がずいぶん黒いわね」とやや不満げだった母親が、息子の恋人とすぐ打ち解けていくシーンにはぐっときました。
妻を失い惰性で日々を送っていた老教授が、青年の母親を誘って見に行くのはミュージカル「オペラ座の怪人」。息子からCDをもらい、どの曲もとてもよかったと彼女が語ったのです。どこに行くのか知らない彼女は、その前に服を買います。黒の地味なワンピースなのですが、息子の恋人が作った鮮やかな色のネックレスとマッチし、とてもエレガンスです。
オペラ座の怪人」はふたりの期待をやや裏切ったようですが、観劇後の食事はとても楽しそうで、それがこちらまで伝わってきました。翌日、青年は強制送還されるのですが……。


扉をたたく人 [DVD]

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