旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

これくらいは許されるよね

仕事をやめてからは外に出なくなってしまい、そんなことはなくなりましたが、以前はよく道を尋ねられたものです。東京なら育ったところですからだいたい教えられます。訊く人はなんとなく私を土地っ子と感じているのだな、と思っていました。
ところが、旅行や仕事で地方に行った時にも、それはよくあったのです。私の風貌に汎用性があるのかもしれません。もちろん土地の者でないので知らないと答えましたが、歳を取ってからは何度かちょっとしたいたずらをしました。圓生さんがよく使う、いんちき方言で返答したのです。「百川」の百兵衛さんのしゃべる言葉を思い浮かべてください。
「はぁ、わしゃあ、ここからいかく遠くの村(そん)から来たものですけぇ、どこがどこだか、いっこうに知りもうせんで、ひぇー、もうしわけないでごんす。」
笑いをこらえている人はいましたが、怒った人はいませんでした。

「うらやましいなぁ」

散歩中に初めて声をかけられました。後ろから自転車で来た男性からで、横に並んだ時に年齢を尋ねられたのです。答えると自分は八十だと言いました。私より十歳上です。そして「うらやましいなぁ」と付け加えたのです。それは年齢のことだろうと思いましたが、喫煙の有無などを問われ、どうもそうではないような気がしてきました。
その方は自転車に乗っていましたが、歩行が困難なのかもしれません。小学生の頃に右足を二カ所骨折しましたので、私の歩き方ははっきり言って不格好です。それでも元気で歩いていることがうらやましかったのではないでしょうか。

ブライアン・グリーン『宇宙を織りなすもの』

買った覚えのない本を書棚に見つけることがたまにあります。書名こそ知っていますが、購入するほど関心があったとは思えません。もちろん読んでもいません。先日はブライアン・グリーン著、青木薫訳『宇宙を織りなすもの - 時間と空間の正体』(草思社、2009年)を「発見」しました。
四十代までは先端科学の一般向け解説書は、それらが理解できたとは思えませんが、よく買っていました。でもこれはその頃の本ではありません。よほど書評で絶賛されていたのでしょう。
科学史としても読めそうです。上下巻で800頁にはひるみますが、読み始めるとしましょう。

冬の連ドラ

テレビドラマが好きなのですが、本を読む時間を増やそうと、あまり見ないようにしていました。秋に見たのは『エルピス』だけです。でも新番組の案内を読んでいたら、あれもこれも見たくなってしまいました。禁断症状なのかもしれません。
すでに四作品を見ました。どれも面白そうです。さらに候補が二つあったのですが、一つは原作者が嫌いなので落としました。
大河が家康で『大奥』もやっちゃうNHKにびっくりしています。

筑摩書房の『現代日本思想大系』

1960年代に筑摩書房から刊行された全35巻の『現代日本思想大系』は高校の図書室でよく借りた本です。古本屋で興味のある巻が安く売られていると買うようにしていました。今手許に「マルキシズム」など8冊があります。
吉本隆明が編集した第4巻の「ナショナリズム」が、彼の解説とともによく知られています。第31巻の「超国家主義」の編集者が橋川文三と聞くと、ほらこれも読みたくなるでしょ。
私は1冊を通して読んだことがありませんが、いつかやってみたいとは思っていました。このシリーズは、冒頭の編集者による長文の解説から順を追って最後まで読み進めることによって、意味を持つのです。
年1巻で8年、なんとかなりそうです。松田道雄の編集した第16巻「アナーキズム」に手を付けました。石川三四郎の「堺兄に与えて政党を論ず」に始まり、埴谷雄高の「政治の中の死」で終わります。

昼散歩

寒いので一昨日から朝散歩はやめ昼散歩に切り替えました。
昼散歩をしなかった理由の一つに、マスクをして外を歩くとメガネがくもってしまうということがありました。そこでスポーツ用のサングラスを使うことにしました。ゴーグルのように目を覆うデザインだからです。これで問題は解決しました。
朝散歩に比べると爽快さには欠けますが、ぽかぽかして気持ちよく、これもまたいいものです。