旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

杉浦日向子『合葬』

百日紅』(ちくま文庫)が面白かったので『合葬』(同)を買いました。彰義隊の隊士二名とその友人を主人公とした作品です。映画化され、先日NHK・BSで放映されましたが見ていませんでした。
三人とも嘉永四年の生れですから上野戦争時には十七歳でした。彰義隊は十代半ばから二十代の若者たちで成り立っていたようです。
幕末の偉人たちは登場しません。江戸を去る慶喜が背景として描かれるだけです。三人のうち生き延びるのは一人。彼のその後はわかりません。
隊士とならなかった英明そうな若者が先に死んでいくのが哀れです。巻末には「長崎より」と題された、彼の死の数ヶ月前の姿を描いたほのぼのとした短編が添えられています。
上野を歩きたくなりました。