旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

続・インクスの倒産(2/3)

先日、インクスに対して債権のある同業者名とその金額を知ることができました。いずれもATCと同規模の小さな試作業者で、債権額が1千万円を超えるものはありませんが、決して少額でもありませんでした。
それらの会社には共通することがあります。光造形機を所有しているのです。もしかしたら、インクスから購入したのかもしれません。高額な設備は、仕事の紹介とセットで売られることが多いからです。
ただ、光造形だけにしては金額が大きすぎます。光造形品は、もろさと粗さから、形状確認に使われるか、表面を磨き上げて真空注型のマスターにするしか使い途がないのです。ということで、多量の注文はあまりありません。
それに、光造形は取扱者の技能を必要としないため時間単価が低く、それだけであのような金額になることは、何ヶ月も支払いが滞っていない限り考えられません。もちろん、手形決済ということもありますが、同業者にはそれをしないということが暗黙のルールです。もしも機械を買ってもらっていたのなら、なおさらなはずです。


(ちなみにATCでは、材料費、外注費、設備費などすべての支払いを、金額に関わらず同条件で現金決済しています。将来も手形を使いたくないので、当座預金口座はあえて開いていません。水は低きに流れるものですからね。)


インクスは自社開発の高度な技術を売り物にしていました。それによってATCのような町工場的試作業者から仕事を奪っていったこともあります。
CADやCAMまで自社で開発したという(ホントかね)オリジナリティー溢れる技術は、ボトルネック理論からいえば、すべての工程が自社内にあることによってはじめて発揮されるはずです。
ところが、実際には外注を、それも町工場的試作業者を使っていたのです。不思議です。