聞き慣れたレコードにも新たな発見があるものです。
マイルズ・デイヴィスの「Four & More」を久しぶりに聞いて、ジョージ・コールマンのサックスの素晴らしさに初めて気がつきました。
「Four & More」は1964年2月12日にニューヨークのフィルハーモニック・ホールで行われたコンサートを録音したものです。同日の録音は「My Funny Valentine」というアルバムにもなっているのですが、「Four & More」のマイルズの演奏は実に攻撃的です。それを支えるトニー・ウィリアムズのドラムも壮絶と言っていいもので、このレコードを聞くと、どうしてもこのふたりの演奏に耳を奪われてしまうのです。
1曲目の「So What」から聞くと、いつもの流れになってしまい、演奏が耳に残らない気がして「天国への7つの階段」からかけることにしました。
この「天国への7つの階段」はマイルズのバンドに一時期在籍した不遇のピアニスト、ヴィクター・フェルドマンが作曲した名曲です。なぜフェルドマンが不遇なのか。この曲をタイトルにしたアルバムがあるのですが、収録されている同曲はフェルドマンの演奏で録音されていたにも関わらず、後任のピアニスト、ハービー・ハンコックのものになっているからです。
ジョージ・コールマンは「天国への7つの階段」からマイルズのバンドに参加し、「Four & More」のコンサートの頃まで在籍しました。64年7月のマイルズの初めての日本公演では、サックスはサム・リヴァースに変わっています。
ジョージ・コールマン、いいですね。モードのお手本のような演奏で音色もいい。なんで彼のよさに今まで気づかなかったのかな。
「天国への7つの階段」から聞かなかったら、コールマンのよさは知らずじまいだったことでしょう。たまには耳を洗うべしです。
そんなわけでGWの前半は、2枚のレコードを繰り返し聞いていました。