アイドルやタレントをテレビで初めて見た日など、覚えていられるものではありませんが、シンシアだけは例外です。一目でファンになったというわけではないのですが、印象が強烈だったからです。
その番組は玉置宏さんの名司会で有名だった「ロッテ歌のアルバム」でした。「沖縄からやって来た新人歌手、南沙織です」と紹介され、色の黒い、小柄だけれど元気そうな女の子がステージに登場しました。*1
「今日は沙織ちゃんが大好きな人をここに呼んでいます。誰だかわかる?」と玉置さんはシンシアに話しかけました。どぎまぎした表情のシンシア、そして小さな声で「近藤正臣さん?」と聞き返しました。
客席から近藤正臣が登場しました。小さな花束を持った彼は、軽いステップでステージに上がると(「柔道一直線」の時代です)、「がんばってね」とシンシアに声をかけ、なんと彼女の広いおでこにキスをしたのです。
「十七歳」のイントロが流れ始め、近藤正臣は舞台下手に去りました。彼の後ろ姿に軽くお辞儀をし、シンシアは歌い始めたのです。
アマゾンにシンシアの2枚組ベストアルバムを注文してしまいました。でも、一緒に小柳ルミ子のそれも注文したことは、ここだけの話にしておいてください。*2