旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

廃墟のような夢の町

楳図かずおの描くような町をさまよう夢を見ました。「わたしは真悟」を読んだからでしょう(もー、単純なんだから)。


友人たちの誘いを断って、私は家に帰ることにしました。帰宅するには、そのまま広い道を歩いて行けばいいのですが、後ろめたい思いのあった私はその道を避け、裏通りに入りました。
そこから、廃墟のようなモノクロの町が広がっていたのです。


家はポツンポツンとあるだけで、人の気配がありません。どの家も木造で、古い農家のようです。
誰もいない児童公園の向いには、巨大な寺院がありました。日を背負っているのか、真っ黒なシルエットになっていました。細部はよく見えないのですが、その佇まいから、私の知らない宗教の施設にように感じられます。なんだか不気味なものが祀られているようなのです。


寺院のとなりは民家でした。玄関には老婆が立っていました。
「このお寺は‥‥。」
「おれの一族の菩提寺だ。」
それだけのことばを交わし、私は逃げるようにその家を後にしました。その寺に巣くう、何かに捕らえられそうだったからです。


しばらく歩くと線路がありました。踏切はなく、電車通過を知らせる警報灯が光っていました。
私の前を二両編成の電車が通り過ぎました。そのとき、色彩がよみがえってきたのです。車輌には色があったのです。