旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

鈴木俊幸『蔦屋重三郎』

2025年の大河ドラマ蔦屋重三郎を主役にした『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』だそうで、黄表紙お約束のテーマ「栄華乃夢」をサブタイトルに入れるなんて、期待ができそうです。
それとは関係なく鈴木俊幸著『[新版] 蔦屋重三郎』(平凡社ライブラリー/2012年)を読んでいます。買ったときには数頁しか読めませんでした。時代小説でよく描かれる、お上嫌いで狷介洒脱な蔦十とはまったく違った堅実な商人がそこにいたからです。でも今はおもしろく読めます。
蔦十が吉原生まれと知ってびっくりしましたが、あの中には商店もたくさんあったのですからおかしいことはありません。私の通った中学校から西に十分歩くと大門でした。
蔦十の出版した本が読みたくなり書棚を探すと、岩波書店の『黄表紙洒落本集』(1958年)に収録された朋誠堂喜三二作の『見徳一炊夢(みるがとくいっすいのゆめ』がありました。「栄華乃夢」ものです。喜三二こと平沢常富は秋田の佐竹侯の留守居役で、蔦十にとって大事な人でした。