旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

大津絵を見てきました

八王子夢美術館の特別展「めぐりあう大津絵」に行ってきました。
実物の大津絵を見るのははじめてです。江戸時代に宿場町、大津で土産物として売られていた稚拙な絵画の保存点数は少ないそうで、この特別展でもそれほど多くは見ることができません。でもとてもいい展覧会でした。
画家、小絲源太郎のコレクションが中心で、半紙を縦二枚に繋いだ初期から中期の大津絵はどれも優れたもので、見応えがありました。後期のものは半紙一枚で、周りに道歌が配されたものとなります。この道歌に節が付けられ、大津絵節になっていくのでしょうか。流行の心学を絵解きし、それに合った歌が添えられているのは、いかにも土産物といった趣があります。富岡鉄斎旧蔵のもののほとんどがそれでした。北大路魯山人が所蔵していた板に描かれた代表的画題の「鬼の念仏」は、大津絵を売る店の看板だったようで、それを掲げた店の様子が浮かんできました。それにしても凄い人たちが大津絵に関心があったのですね。
近松門左衛門浄瑠璃『傾城反魂香』で浮世又平が大津絵を描いて方便(たずき)としていたことから、その芝居絵なども展示され、「おっ、儲け」気分で帰ってきました。