旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

岡林信康の玉姫公園ライブ(承前)

観客は何人くらいだったのでしょうか。
玉姫公園の中央の一段高くなったところをステージとして、西側にパイプ椅子が置かれていました。100席はなかったでしょう。あとはスタンディングです。遊具に腰掛けて聞いている人もいました。
たぶん300人以上の人が集まっていたはずです。


少し休憩があり、岡林信康がステージに登場しました。ジャンパーにジーンズ、そしてサンダル履きです。
やや緊張しているようで、顔色がさえません。
残念ながら、当日のセットリストは覚えていません。あのころはレパートリーも少なかったので、おなじみの曲が続いたはずです。
軽い風刺ソングから岡林のステージは始まりました。前に出たグループをヤジっていた人たちもおとなしくなり、客席はしーんとしていました。
数曲歌ったあとに、「おまえなんか山谷で見たことがない」というヤジがとびました。岡林はそれを無視していましたが、ヤジは激しくなるばかりです。
「俺はここに歌いに来たんや。ほかの客のじゃまになるから、帰れ。」
岡林はその客をにらみつけ、鋭く返しました。何人かが「そうだ」と彼に相槌を打つと、ヤジは静まりました。


「山谷ブルース」が始まると、会場の雰囲気ががらっと変わりました。くすんでいたおっさんたちの顔が輝きだしたのです。すごい熱気です。「俺たちの気持ちを歌ってくれてありがとう」ということなのでしょう。
フォークの神様が、一瞬山谷の神様になったのです。


30分ほど歌い、岡林はステージを下りました。アンコールはあったのかな。
暑い季節の野外ライブでしたから、興奮の余韻が残る会場にはたくさんの人が残っていました。私たちはパイプ椅子撤収の手伝いをすることにしました。


再発をかたくなに拒んできた、岡林の初期のLPが今月からCD化されるそうです。
私はデビューアルバムの「私を断罪せよ」しか持っていませんでした。はっぴいえんどをバックにした「見るまえに跳べ」は、もう一度聞いてみたい気がします。


見るまえに跳べ (紙ジャケット仕様)

見るまえに跳べ (紙ジャケット仕様)