旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

黄金時代

旭亭から見た昨日の夏空

小学生のころは毎年、夏休みの1、2週間を茨城の母の実家で過ごしていました。
下妻まで電車で行くこともありましたが、だいたいはバスを利用していました。近所から野田経由で境まで行くバスが出ていたのです。母の実家は境と下妻の中間あたりにあり、この二つの町をバスが結んでいました。
境という町は利根川を越えたところにあります。利根川の増水でバスが橋を渡れず、ドラム缶の上に板を置いた仮を橋を渡ったこともありました。
乗り物酔いをするので、長時間バスに乗ることはつらかったのですが、田舎で待っている楽しいことを思うと、それが気にならなくなったものです。


母の実家に着くと、すぐに近所の子供たちが集まってきます。みんな私より年少ですが、気心の知れたいい仲間たちでした。
蝉取り、ザリガニ釣り、女の子を交えたママゴトと、遊びの種は尽きません。スイカを盗んで、おじさんに怒られたこともありました。スイカを盗むこと以上に、畑を踏み荒らされることが迷惑だったそうです。


あのころは社会の変化が今ほどでなかったせいか、どの夏休みも同じように過ごしたという印象があります。唯一の例外は、祖母の病気が悪化し、激しい痛みの中で死んでいった年です。
一日中遊び暮らしたあのころは、誰にでも一度はある人生の黄金時代だったのでしょう。学校から解放され、なんの悩みもなく日々を過ごした、そんな時代があったから私みたいな意気地なしでも、なんとかここまで生きてこられたのです。
目をつぶると、青い空と白い雲と日に焼けたランニングシャツの子供たちの姿が浮かんできます。私も、そして私がいつも手こずらされた頑固者の山羊もその中に見えます。
みんなぁー、元気だよな!