旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

八王子狸合戦

桜酔いをしたのかヘンテコな夢を見ました。


両親を早くになくし(実際には母は健在です)家を出て暮らしていた私は、旧家然とした祖父の住む実家に帰ってきました。
祖父は元気で、数人の人を使い(なんだかわからない)事業をしていました。使用人の中で、祖父が最も頼っていると思われる男が私に話しかけてきました。着流しで、ちょっと高倉健に似ています。


「坊(ぼん)、あっしは実は狸です。罠にかかっていたところを、坊のおっかさんに助けてもらいました。きれいでやさしい人でしたねー(人間にしておくのはもったいねーくらいだ)。
元気になったあっしはおっかさんに恩返しがしたくて、この家の見えるところで暮らしていました。ところがある日、八王子の高尾山に住む古狸が坊のお祖父さんを山で殺し、そのお祖父さんに化けてまんまとこの家に入りこんだのです。
そのうちに、様子がおかしいので坊のご両親が異変に気づきました。するとこの古狸、仲間を誘ってご両親まで殺してしまったのです。
この家の使用人は、あっし以外はみなそのときの狸です。あっしは古狸に復讐するために、人間に化けてここで働き始めました。
ばれていないのか、ですか。あっしの術はあいつらを遙かに陵駕しております。狸だとは、これっぽっちも思っていませんや。古狸の野郎、狸は信頼がおけないと、あっしを重用するようになりました。
あとは殺るだけなんですが、坊にだけはこのことを知ってもらいたくて、お帰りを待っておりました。
坊、ここに残っては面倒なことに巻きこまれます。すぐに逃げてください。
あっしですか?多勢に無勢、古狸は殺れても、取り巻きの全部を倒すことはできないでしょう。ほとぼりがさめたころに、線香の一本でも手向けてくだされば、以て瞑すべしです。」


私は、この若い狸の言うことに従い、家を出ました。
八王子の狸たちが新旧二派に別れ、血で血を洗う壮絶は戦いを繰りひろげることになった、後に言う「八王子狸合戦」の発端のお話であります。


もちろん「八王子狸合戦」なんてありません。「平成狸合戦」があったのは多摩ニュータウンです。
先週、先代小さんの「たぬき」を聞いて感心したので、こんな夢を見たのでしょう。