旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

こんな夏休みを過ごせたら

ちくま文庫の『柳田國男全集』で『桃太郎の誕生』を読んでいます。再読ですが、柳田の言わんとするところがおぼろげながら見えてきました。
読みながら、こんな風に過ごす夏休みがあったらよかったのにと思える情景が浮かんできました。


小学生の頃、夏休みには母の実家に一二週間ほど行っていました。茨城県の結城で、水田よりは畑が多かったのではないでしょうか。母の家は農家ではありませんでしたが。
こんなところで一月過ごしたい。でも、小学生では虫取りや川遊びだけで満足してしまいますので、もう少し年嵩の、できれば二十歳くらいの自分がいいな。
畳の部屋より板敷きの方が好きです。涼しいしね。
『定本柳田國男集』全巻を函から出して床に散らかします。で、その中に寝転がって終日気ままに頁を繰るのです。白絣なんて贅沢はいいません。甚平で十分です。
部屋の隅にはミカン箱が机替わりに置いてあり、たまにはそちらに席を移し、ノートを取ります。
時々ばあやの清がやってきて、「そんなに根を詰めると体に障りますよ」といつも同じことをつぶやきながら、甘い麦茶をお盆にのせて置いていきます。とりわけ暑い日には、そばに座って団扇であおいてくれることも……。
一月経ち、町に帰る日には何か種のようなものを飲み込んだ私になっているのです。