旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

本は(とにかく)読んでみよ!

5年前に買って、1頁も読まずにほったらかしてあった桜井哲夫著「『戦間期』の思想家たち」を書棚の奥からひっぱりだしてきました。
熱のせいか読んでいた本に身が入らず、目先を変えようとしたのですが、よりによってこんな本を選ぶところが我ながらヘンです。でもこういう直感って、意外と当たりに巡り会えるんですよね。


たぶんこの本、書評だけで買ったはずです。20世紀後半のフランスの思想家たちについての本なんて、とっくに理解できないとあきらめていましたから‥‥。
が、「馬には乗ってみよ」本は(とにかく)読んでみよ、です。
冒頭の盗掘者、アンドレ・マルローのエピソードにすぐに填ってしまいました。掴みのうまい本です。


カンボジアの廃寺から石像(レリーフ)を盗みだしたマルローたちはすぐに逮捕されますが、彼を救援するアピールには多くの文化人が署名しました。
ジイド、モーリアック、アラゴンブルトンからなんとアナトール・フランスまで。彼らのその後を知っている私たちには、信じられないメンバーです。


マルローには執行猶予付の判決が出されます。驚くべきはその後で、なんと彼は植民地行政批判の運動をはじめるのです。植民地の遺跡を金のために盗掘した人物が、です。


今はまだレヴィ=ストロースについての章(第2章)までしか読み終えていませんが、こちらもサルトル、ニザン、ヴェイユと登場人物が豪華で、飽きることがありません。
やはり、直感は当たっていました。