旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

漱石を読む。

以前から漱石全集を全巻再読しようと決めていました。漱石の後期小説は何度も読んでいますが、全集を読破したことは一度しかありません。
いつ始めるのかは、時が知らせてくれるだろうと考えていましたので、何歳になったらという計画は立てませんでした。
漱石全集は二度購入しました。今、手元にあるのは93年に刊行が始まった岩波書店版の全集です。


きっかけはとあるアンソロジーでした。それには「永日小品」の中の「蛇」が収録されていて、それを読み終えた瞬間に全集を再読しようという気持ちになったのです。
そのアンソロジーの次の作品は、鴎外の同名の小説でした。


「坑夫」のような退屈な小説を自分がどう感じるかにも興味がありますが、「倫敦塔」などイギリスの文学や歴史に材を求めた小説が十代の私には面白かったので、早く読んでみたくなっています。
心配は「文学論」です。前回ははなから理解できないものと諦めて活字を追っただけでしたが、たぶん最後の挑戦となる今回はそうはしたくありません。


漱石にはどんな読み方も許してくれる懐の深さがあります。そのため、現在もたくさんの漱石論が発表され続けているのでしょうが、自分の漱石論を作るためという視点からできるだけ遠ざかり、その文章に接するつもりでいます。


書棚の奥にあった漱石全集を、手に届くところに並び替えました。第一巻の「猫」を読んでいます。