旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

労働者階級の英雄 シリトーとレノン

先週からずっとビートルズを聞き続けています。


66年から67年にかけて、レノン&マッカートニーは信じられないような名曲を3曲作りました。「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」「ペニー・レイン」と「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」です。
まずレノンが「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を書き、それに触発されてマッカートニーが「ペニー・レイン」を作りました。
このときに次のアルバムの方向が決まり、たぶん彼らの最後の共作となる「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」ができました。テーマはレノン、ブリッジがマッカートニーです。
マッカートニーの絶妙なブリッジが入ることによって、テーマに戻ったレノンのボーカルが微妙に変わります。私はその部分を聞くと、今でもぞくぞくしてしまいます。
「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」と「ペニー・レイン」が急遽シングルとして発売されることになり、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」はアルバム「サージャント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のコーダとなりました。


なんて書くと、ずっとこの3曲が大好きだったように思われるでしょうが、実際はまったく逆でした。「こんなもったいぶった曲を作りやがって、いったい何様のつもりだい」が当時の私の正直な感想だったのです。
この奇跡の3曲が好きになったきっかけは、アラン・シリトーでした。
発表されてから10年ほど後のことです。シリトーの作品をむさぼるように読んでいたときに、突然あの曲たちが思い浮かんできたのです。
シリトーの描く、くすんだ下町と港町リバプールが重なりあって見えました。きらびやかではないイギリスの町を、私はそのときはじめて実感したのです。そしてその町の中を、少年だったレノンやマッカトニーがいきいきと闊歩していました。


今日のお題はレノンのアルバム「ジョンの魂」の収録曲からいただきました。シリトーも労働者階級の出身だからです。
マリアンヌ・フェイスフルが「ブレイジング・アウェイ」というライブ盤でこの曲をカバーしていますが、鬼気迫る歌唱で、一度聞いたら忘れられなくなります。でも(だから)お薦めはしません。