旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

iPad で半七を

iPadに表示された「半七捕物帳」

iPad 、愛用しています。もっぱら読書用ですが、青空文庫を読むために購入したわけですから、本来の使い方をしているわけです。
ドックに挿しっぱなしにしていますので、ちょっと見は書見台のようです。


今読んでいるのは「半七捕物帳」で、青空文庫では全作品、68作が公開されています。
半七、好きなんです。ミステリとしてはものたりませんが、時代小説としては優れた作品です。
何と言っても文がいい。大正6年から書きはじめられたのですが、文体に古さは微塵も感じられません。平易でありながら味わいがあります。


全編、新聞記者の私が隠居している半七から捕り物の話を聞くというスタイルをとっていますが、作者の岡本綺堂は明治5年(1872年)の生まれですから、半七の口調には、綺堂が実際に耳にしたことのある江戸の町人のそれがいかされているはずです。
地の文章もすばらしいのですが、半七の話すことばがいいのです。私が聞いて育った東京の下町ことばとはだいぶ違います。
半七は日本橋で生まれて神田三河町で御用聞きをやっていたのですから、生粋の江戸ことばを話していたのでしょう。


先日、未見の「半七捕物帳」を読んでいる夢を見ました。残念ながら事件は起こらず、心温まる市井の一エピソードで終わってしまいましたが‥‥。