旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

中島みゆき「蕎麦屋」

中島みゆきのアルバムであまり聞くことのないのが「生きていてもいいですか」です。
アルバムジャケットは黒一色で、真ん中に灰色から白へのグラデーションでタイトルが書かれています。そして一曲目はあの「うらみ・ます」。
三曲目の「キツネ狩りの歌」はキツネ狩りがなんの比喩なのかいまだにわかりません。私の中では八年後のアルバム「グッドバイガール」に収録されている「野ウサギのように」と対になっています。キツネと野ウサギがともに狩りの獲物ということからだけなのですが。


次の曲「蕎麦屋」はよく聞きます。こんな経験をしたことはないのですが、「あゝ、あのときあいつは俺と蕎麦を食ってくれたよな」なんて思えてきて、二十歳前後の自分に一足飛びで戻ってしまいます。
貧乏でさえない風貌の男ふたりが、うらぶれた蕎麦屋でまずい蕎麦をたべている。11月中旬の風の強い日の夕方。私は呼び出した方だな。
また失恋して、やってきてくれた彼に少し涙目になりながら愚痴っている。こんなことやってるの、何度目だろう。でも、振られるってのは世界が無くなっちゃうことなんだから。
蕎麦屋」では「あたしたぬきうどんを食べている」と歌われていますので、そこにいるのは男女なのでしょう。でも、私には男同士が見えてきます。
「あのね、わかんない奴もいるさ」と言って彼女を悲しませる彼は、その後彼女から「ミルク」と呼ばれるようになるはずです。