旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

三好十郎『彦六大いに笑ふ』

青空文庫で三好十郎の戯曲『彦六大いに笑ふ』を見つけました。
彦六は先代の林家正蔵さんの晩年の名で、昔見た映画『彦六大いに笑ふ』からその名前をいただいたといっていました。私はそのタイトルから、勝手に映画は時代劇なのだろうと決めていました。進藤英太郎か東野栄二郎が大笑いしているラストシーンが思い浮かんだのです
『彦六大いに笑ふ』は三幕の短い戯曲です。主人公は正宗彦六、若い頃は民権運動の闘士だったようですが、現在は新宿のビリヤード店「旭亭」の主人におさまっています。でも昔とった杵柄で、大型食堂の建設のために壊される零細な商店の立ち退き料の増額を求めてヤクザとやりあっているのです。確かにこれは稲荷町の師匠が好みそうな人物ではありますが、実につまらない作品です。
映画は戯曲の発表と同じ1936年に公開されました。監督は木村荘十二で三好十郎自身が脚色しています。彦六役は徳川夢声です。