旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

1745年の乱

トマス・ピンチョンの『メイスン&ディクスン』を、実にゆっくりと読み続けています。文章が晦渋ということもありますが、そこに出てくる歴史上の出来事などを調べるのに時間を費やしているからです。
この小説は1786年のフィラデルフィアで、ある牧師が身内に語りかけるというスタイルをとっています。主人公のチャールズ・メイスンとジェレマイア・ディクスンは実在の人物で、舞台は1700年代半ば過ぎの、主にイギリスとアメリカです。ピンチョンの小説にはつきものの、突飛な人々も大勢登場しますが(満月の夜に人間になる狼男やしゃべる博学犬、牙公なんてのもいます)、歴史に名を残した人たちもいます。
その出来事や人物については簡単な訳註が付いていますが、まったく知識がないものに関してはそれでは足りません。それを調べ、知ることもおもしろく、本編がなかなか読み進められないというわけです。
昨日はこんなところに引っかかりました。メイスンがディクソンに話しかけます。
「少し話を戻そう、『四五年の乱』だと? あの運命の年について、君が一体何を知っておる? 何を覚えている? 君はまだほんの子供だったではないか」(上巻446頁)
「四五年の乱」には註がありません。吉川弘文館の『世界史年表・地図』には「1745~46年 ジェームス党の反乱」とあり、どうやらこれのようですが、どのような反乱かは書かれていません。イギリス史の本などを何冊か広げ、どうにかわかりました。そこでやっと447頁に進むことができたのです。あー、疲れた。でもおかげで447頁の「ジャコバイト」は調べずにすみました。