旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

笠置シヅ子

来年秋の朝ドラは笠置シヅ子をモデルにした『ブギウギ』です。実在の人物をモデルにした朝ドラは、ドラマとしてはともかく、主人公はモデルとかけ離れたものになりがちです。伝記ドラマとして見なければいいのでしょう。
笠置さんは1957年に歌手をやめていますので、私の知る彼女は、のど自慢番組で審査員をする関西弁のおばさんでした。後年、黒澤明監督の『醉いどれ天使』を見て、こんなにすごいショーガールだったのかと驚きました。
YouTubeに彼女と岸井明、高峰秀子が出演した映画『銀座カンカン娘』で、同名の主題歌を歌うシーンがアップされていました。歌い順は記した順で、笠置さんの歌詞だけはレコードと違うものでした。
色川武大著『なつかしい芸人たち』(新潮文庫/1993年)には岸井明についての「誰よりトテシャンな」という文章が収録されています。色川は「大きな岸井明と少女スターのころの高峰秀子というコンビ」が「煙草屋の娘」をデュエットしていると書いていますが、岸井と歌っているのは平井英子です。デコちゃんが同名異曲を歌っているので間違えたのでしょう。こちらはソロの曲です。
色川は同書の「リズムの天才」では、笠置シズ子(シヅ子は歌手をやめてからの芸名です)の松竹楽劇団時代のことを書いています。松竹楽劇団は「少女歌劇(の古手を活用して)を脱皮した男女混成のレビュー劇団で」1938年に結成され、帝国劇場を本拠にしていました。ということは、笠置さんの全盛期は関西ではなく、東京の舞台だったのです。1939年の公演で斎藤広義のトランペットをバックに「ラッパと娘」を歌う写真の彼女は、右手でサテンのワンピースを持ち上げていて、ちょっとセクシーです。