旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

金曜日はドラマの日

金曜日には見るテレビドラマが5本あります。それ以外に『新日本風土記』もありますから、録画で見ていますので、翌土曜日は一歩も家から出られません。
タイトルを書いておきます。順不同です。
『THIS IS US 2』『凪のお暇』『セミオトコ』『経費で落ちません!』『螢草 菜々の剣』。NHKが3本と、ちょっと偏りがあるかな。それと、3作品は先週から始まったばかりです。まだ間に合いますよ。
理由を少々。
『THIS IS US 2』は現在最高のテレビドラマだから、『螢草 菜々の剣』はチャンバラ(になりそう)だから。『セミオトコ』は岡田恵和先生の脚本だから、『凪のお暇』と『経費で落ちません!』は市川実日子さんと多部未華子さんが出演しているから、です。私はダブルみかこの大ファンなのです(そんな言い方はありません)。
旭亭は2台のビデオデッキで5番組同時録画が可能です。

マルシェ

最近よく聞く言葉に「マルシェ」があります。小洒落た人たち御用達かと思っていたら、身近でも使われるようになっていました。
私が知る「マルシェ」の使用例は一つだけでした。ハウス食品レトルトカレーの商品名です。ですから、初めは何を指しているのかわかりませんでした。
私たちの世代はそれを勧工場(クワンコウバ)と呼んでいました。それは嘘ですが(使われたのは大正時代まででしょう)、「マーケット」がなぜ「マルシェ」になったのか知りたいものです。

貸本屋

九年前の朝ドラ『ゲゲゲの女房』の再放送を初めて見ています。ドラマでは水木先生はまだ貸本マンガを書いています。
松坂慶子さんが営む貸本屋「こみち書房」が近くにあり、マンガを借りる子供たちだけでなく、夕方には仕事帰りの大人もやって来ます。が、貸本マンガは下火になりつつあるようです。
松坂さんの母親役が佐々木すみ江さん。ゲゲゲの女房の父親を演じる大杉漣さん、祖母とナレーションの野際陽子さんと、亡くなった方々が元気な顔を見せてくれます。
私が育った台東区の橋場とその周辺の町には貸本屋はありませんでした。でも貸本屋でマンガを借りたことはあります。
大田区大森に住む母方の伯母は、小さかった私をとてもかわいがってくれました。伯母の家には何度も泊まりに行きました。そこに貸本屋があったのです。
とうに全盛期は過ぎて、書棚はスカスカでした。そこに並ぶわずかな貸本マンガを借りて読んだのです。水木先生のマンガを読んだ記憶はありません。私は月刊の少年マンガ誌で育ったのですが、貸本マンガで読んだ先生たちの名前をその中に見つけることはできませんでした。

ポアロはなぜ故国を後にしたのか

アガサ・クリスティーのミステリーを熱心に読んだのは十代の頃です。『アクロイド殺し』『そして誰もいなくなった』など感心した作品はいくつもありましたが、再読したものはありません。
映画やテレビドラマになったものも見ました。どれも原作を忠実になぞっているだけで、風景やセットを見る楽しみしかありませんでした。
BSプレミアムの『ABC殺人事件』を見たのは、ジョン・マルコヴィッチがエルキュール・ポワロを演じていたからです。彼ほどポアロに似つかわしくない俳優はいません。お手並み拝見といったところでした。
私は原作についてわずかなことしか覚えていません。アルファベット順に、それを頭文字とする町で同じ頭文字の人が殺されるということだけです。
でも、今回の『ABC殺人事件』は原作からだいぶ離れた作品であると断言できます。なぜならポアロの前職が警察官ではなかったからです。ポワロの友人だったジャップ警部の後任者クローム警部はそれを知り、ポワロにお前は何者なのだと迫ります。クローム警部にとってポワロは、過去の栄光にすがる老いぼれの異国人に過ぎないのです。
(以下ネタバレあり。)また犯人と目されたA.B.C.氏をあのように描くのは、クリスティーにはできなかったでしょう。
『刑事フォイル』を見たおかげで、私はイギリスが移民に寛容な国ではなかったことを知りました。そのようなところにポワロはやってきたのです。彼は故国では聖職者でした。ベルギーはプロテスタントの国ですから、牧師だったのでしょう。第一次大戦中、彼の住む村にドイツ軍が侵攻し、村人が退避した教会には火が放たれました。たまたま助かった彼はイギリスに逃れたのです。
ABC殺人事件』は動機のある一つの殺人を隠すためにそれと無関係な三人が無意味に殺されるという馬鹿馬鹿しい事件です。ドラマはそれらの人びとにもスポットライトを当てていました。とりわけB嬢の周囲の描写は丁寧で見事でした。
ポワロを筆頭に不幸な人びとばかり登場しましたが、少し先にほのかな光があることを予感させてドラマは終わりました。いいものを見ました。

ドライバに問題あり

ちょうど一週間前に「音回りの手入れはこれでおしまい」と書きましたが、それはハードに関してはということで、実は大きな問題が残っていたのです。それがやっと解決したのでご報告いたします。
私のメインの音楽プレイヤーはfoobar2000です。ある時期から音が止まるようになりました。同じ箇所で再生できなくなるのなら音源に問題があることになりますが、そうではありません。
foobar2000の音飛び対策はネットでいくつも見つかりました。バッファサイズを増やしたり、Windowsの標準サウンドを無効にするなどが紹介されていました。試してみましたがどれも効き目はありません。
次にソフトを変えてみました。TuneBrowerでは完全に止まってしまうのではなく、一時停止してから再生が続きましたが、それでも使いものにはなりません。異なるソフトで同じ現象が起こるのなら、原因はドライバにあるはずです。
ドライバはDACを買った時にメーカーのサイトからダウンロードしたものです。アップデイトされているかもしれません。アクセスしてみましたがアップデイトはありません。さてどうしよう。ダメもとで最新機種のドライバを使ってみることにしました。
結果は?今のところ音は止まりません。

「とても」と「全然」

芥川龍之介は『澄江堂雑記』で副詞「とても」について次のように書いてます。
「「とても安い」とか「とても寒い」と云ふ「とても」の東京の言葉になり出したのは数年以前のことである。勿論「とても」と云ふ言葉は東京にも全然なかった訣(わけ)ではない。が従来の用法は「とてもかなはない」とか「とても纏まらない」とか云ふやうに必ず否定を伴つてゐる。」(二十三 「とても」)
そしてこれは「三河の国あたりの方言であらう」とし、用例として『猿蓑』の「秋風やとても芒はうごくはず 三河、子尹(しいん)」を挙げています。この文章が書かれたのは大正中期です。
私は「とても」の「肯定に伴ふ」用法を何の疑問も抱かずに使っています。しかし引用にある「全然」は、現在では肯定的にも使われていますが、これには違和感を覚えますので口にすることはありません。