旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

コント55号は好きだったけれど

萩本欽一茨城ゴールデンゴールズ監督の解散発言撤回は、芸能人が声を大にしたときは信用するな、という法則通りの結末で、格別新味があるものではありませんでした。
ご存じの通りこの法則は吉本隆明の「芸能の論理」からきているものですが、若干ニュアンスが違いますので原文を引用しておきます。


太宰治のいい草ではないが、ふだん政治的冗談や芸人的冗談を売りものにしているような男が、<まじめ>くさった顔をしてなんかいうときは、嘘をついているにきまっているのだ。」


私はこの文章を高校3年生のときに雑誌「文藝」で読み、妙に納得したものでした。それがいつのまにか少し姿を変え、前記のような法則となっていったのです。


コント55号は吉本の文章で批判されている芸能人のひとり前田武彦の司会する「お昼のゴールデンショー」でブレイクしたのですが、私は日曜日の「大正テレビ寄席」に出ている頃が一番好きでした。その後彼らは数多くのレギュラー番組を持つようになり、おもしろさはどんどんダウンしていきましたが嫌いではありませんでした。


コント55号が解散状態になったとき、私は萩本欽一が若者向けの喜劇の演出家兼コメディアンとして活躍してくれるのではないか、と勝手に期待しその実現を楽しみにしていました。坂上二郎には古いタイプの喜劇人のイメージしか感じられなかったのです。しかし彼は聴取者からの投稿コントを紹介するラジオ番組を始め、期待は裏切られてしまいました。
その形式は人気をよび、テレビにまで広がっていきました。55号時代に浴びせられた低俗との批判を跳ね返した萩本欽一は一躍時代の寵児となったのです。
当然のことながら萩本の方に先見の明があったわけですが、私の中では彼に対する関心が復活することはありませんでした。