旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

志ん生の夢

古今亭志ん生の夢を見ました。初めてのことです。


私は新弟子でした。旅館の大広間にいるようですが、何故か板敷きです。地方で落語会があり、その翌日の朝といった風情でしょうか。
「これから謎かけをやるよ」誰かがそう言いました。広間の真ん中には志ん生が黒の着流しで座っています。横には一升瓶と湯飲みが置かれています。その前に兄弟子がふたり、座布団も敷かずに、浴衣姿で神妙な顔をして座っていました。
志ん生が出題をし、兄弟子たちがそつのない答えをします。紋切型で面白くありません。「まあ、いいか」ぽつりと志ん生はつぶやきました。
広間の隅で小さくなっている私に「こっちへおいで」と声がかかりました。こちこちで師匠の前に座ります。
「お前は新しく入った子だね。おっかさんは達者かい」志ん生が尋ねます。やさしい声音です。
「はい、元気です」しどろもどろに答えましたが頭の中は真っ白です。
「で、おとっつぁんは」
「数年前に亡くなりました」
師匠の謎かけを待っているのですが、一向にありません。どうも、まだ素人のような弟子にとまどっているようです。
「まいったね」と言って師匠は頭に手をやりました。禿頭に汗が見えます。


これだけでしたが、いい夢でした。