旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

絵を描く人たち(1)

知人に、絵を描く人がふたりいました。同年代の男性と、一世代下の女性です。


彼との出会いは風変わりでした。こんなことは一世一代です。
なじみの古書店で本を数冊買い外に出ると、後から声をかけられました。
その書店で何度か私を見かけ、購入する本の傾向に興味を持ったというのです。いきなり話しかけたら失礼になるだろうと店主に相談したら、「あの人なら大丈夫ですよ」と言われ声をかけたそうです。
会社の昼休みがそろそろ終わる時間でしたので、連絡先を教え別れました。
異界からこの地にやってきたような風貌も、柔らかな話し方も、なんとなく武満徹に似ているというのが、彼の第一印象でした。


翌日、彼から電話があり喫茶店で会うことになりました。
彼は先に来ていました。話題はもっぱら古書のことでしたが、私と彼の関心の持ち方は明らかに違っていました。
私は古書店で、再刊されていない本を探します。文庫本などで安く手に入るのなら、そちらを選びます。要は読めればいいのです。
彼は初版本や限定本を集めていました。ただ、なんでもいいというわけではなく、装丁、内容ともに優れているものがその対象となっているようでした。