旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

絵を描く人たち(6)

「私の兄がレコードをたくさん集めていて、よくそれを聞かせてもらいました。最近になって、その中の一曲をどうしても聞きたくなったのですが、曲名を覚えていないのです。」
仲間と飲んでいた居酒屋で、隣のテーブルの女性から声をかけられました。話したことはありませんが、何度かその店で顔を見たことがあります。
音楽仲間と行くことが多い店で、そのときも話題は音楽のことでした。ですから、唐突にという感じはしませんでした。
彼女のお兄さんは私と同じ年頃だそうです。それならなんとか曲名がわかるかも知れません。
ゆっくりとしたテンポのエレキギターのインスト曲、ベンチャーズではない、これだけがヒントです。
シャドウズの「春がいっぱい」かな。おとなしそうな女性だから、きれいなメロディーのこの曲は好きかも知れない。
メロディーをハミングします。実は私、この曲を弾くことができます。
「きれいな曲だけど、それではありません。」
ブーでした。
突然ひらめきました。
「間奏にロシア民謡の『トロイカ』が入っていませんでしたか?」
彼女は目を軽く閉じ、「そう言えば‥‥」と小さな声で答えました。
スプートニクスの「霧のカレリア」です。*1
それが画家との出会いでした。

霧のカレリア

霧のカレリア

*1:この曲も演奏できます。「春がいっぱい」も中学生時代に覚えたのですが、その年ごろの暗譜力って驚異的ですね。もちろん、現在でも弾くことができます。