旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

男の子?女の子?

往復の新幹線では八代目林家正蔵の落語を聞いていました。「旅の里扶持」という、長谷川伸が書いた新作をじっくりと聞きたかったのです。で、それ以外の正蔵師匠の音源も iPod につめて出かけました。
私の持っている「旅の里扶持」は1971年9月の録音で、TBSで放送されたものです。とても音がいいので、客は入っていますが寄席ではなく、スタジオかホールで収録されたものでしょう。
正蔵師匠は71歳、声に張りがあり、テンポも後年に比べると軽快です。
途中「あれっ」と思うところがありました。新内語りのお駒の生んだばかりの赤ん坊に、師匠をしくじった落語家、林家正橋が「坊や」と呼びかけているのです。後年、成長したこの子と三代目正蔵となった正橋は再会いたします。正橋の一字をとってお正と名付けられたあのときの赤ん坊は、母親によく似た娘に成長していたのですが‥‥。
赤ん坊が男の子か女の子かは、「旅の里扶持」では大事なことなのです。これは正蔵師匠の言い間違えなのでしょうか。それとも、お正は生まれたばかりだったので、正橋が勝手に男の子と思いこんでいたのでしょうか。あるいは、江戸時代には赤ん坊を男女を問わず「坊や」と呼ぶ習慣があったのかと、いろいろ考えましたが結論は出ませんでした。


「旅の里扶持」は往きの新幹線の中で聞いていたのですが、帰りに聞いた「一眼国」にその謎を解くヒントがありそうです。
「一眼国」は見せ物小屋の太夫が、旅の六部から聞いた一つ目の子供を探しに行く噺です。六部が見たその子供は女の子だったのですが、太夫が出会ったのは男の子でした。これだけなら別に問題はないのですが、この男の子がいつのまにか女の子になっているのです。
さて、どう考えましょうか。